東京都の公式ページ(http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2008/02/20i2j300.htm)記事を引用。
↓業務停止を受ける2年前から消費者トラブルの被害の声があがっていたが改善せず、さらに悪質化。
結婚相手を一人も紹介しなくても、解約になるとほとんど返金に応じない
結婚相手紹介サービス事業者に対し業務停止命令(6か月)
本日、東京都は、男性会員が実会員数の約3倍登録されているかのように説明して契約し、紹介してくれない、紹介されても希望条件と違っているなどの理由で消費者が中途解約を申し出てもほとんど返金に応じないなどの不適正な取引行為を行っていた事業者に対し、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第47条に基づき業務の一部を停止すべきことを命じました。
なお、結婚相手紹介サービス事業者に対する業務停止命令は、全国でも初めてです。
なお、結婚相手紹介サービス事業者に対する業務停止命令は、全国でも初めてです。
1 事業者の概要
2 当該事業者の特徴
- 主に国際結婚を希望する日本人女性に、高収入でセレブな外国人男性を紹介することをセールスポイントとする結婚相手紹介サービス。主に女性が渡航して男性に会いに行く。
- 契約金額は約60万〜140万円。紹介予定人数は6人〜12人。消費者は、紹介してもらえると思って契約するが、契約書をよく読むと、役務提供期間(1年間)内に1人も紹介されないこともあると書いてある。
- 契約後何ヵ月も連絡がない、ほとんど紹介がない、紹介されても希望条件と違っている、契約後に希望条件が高すぎて紹介できないと言われるなど入会前の説明と違う、などの理由から中途解約を申し出ると、契約金額の約2分の1にあたる金額を、成瀬自らが代表を務める海外現地法人、Destina Japan Inc.(アメリカ)、Destina Japan Ltd.(イギリス)に支払ったとして返金の対象外にする。
- 一度も紹介を受けていない消費者が中途解約を申し出た場合でも、事業者は新規男性会員を募集するという営業活動も紹介のための探索にあたり重要な役務だとして、会員在籍期間をもって役務を提供したとして精算する。
- 消費者は中途解約を申し出て初めて、結婚相手紹介サービスの役務を受けていなくても、期間が経過するとほとんど返金がない仕組みになっていることを知り、相談に発展する。
3 東京都における事業者に関する相談の概要
- 契約者の平均年齢 35.3歳
- 平均契約額 53万円 最大契約額 126万円
- 相談件数 平成18年度−27件、平成19年度−38件(平成20年2月18日現在)
4 業務停止命令の内容
平成20年2月21日(命令の翌々日)から平成20年8月20日までの間(6ヶ月)、特定商取引法第41条第1項第1号に規定する特定継続的役務提供(同法施行令別表第5の6の項の第1欄に定める役務)のうち、次の行為を停止すること。
(1)契約の締結についてその勧誘をすること。
(2)契約の申込みを受けること。(ただし、更新契約に係るものは除く。)
(3)契約を締結すること。(ただし、更新契約に係るものは除く。)
(2)契約の申込みを受けること。(ただし、更新契約に係るものは除く。)
(3)契約を締結すること。(ただし、更新契約に係るものは除く。)
※既契約者に対する役務サービスの提供は業務停止の対象とはならないので、現会員は結婚相手紹介サービスを引き続き受けることができる。
5 業務停止命令の対象となる主な不適正な取引行為
6 今後の対応
業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して特定商取引法第70条の規定に基づき2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては特定商取引法第 74条の規定に基づき3億円以下の罰金を科する手続きを行う。
引用元: http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2008/02/20i2j301.htm
5 業務停止命令の対象となる主な不適正な取引行為
不適正な取引行為 | 特定商取引法の条項 |
---|---|
※契約書面に、消費者が支払わなければならない金額として、総額のほかに内訳として、費目ごとに金額及び明細(例えば「(1回あたり又は1か月あたりの単価)×(回数又は期間)」という形で費目名並びに単価及び数量等の算定根拠を明らかにする)を記載しなければならないが、費目ごとの明細を記載していない。 また、割引価格を適用した場合、総額しか記載していない。 | 第42条第1項第2項 (書面記載不備) |
※概要書面及び契約書面に、会員がデスティナ・ジャパン非会員との結婚・婚約・交際等を理由に退会した場合は、その時点で役務の提供が完了したとして一切の返金を行わないと記載している。 これは特定商取引法49条(中途解約)に反する特約で、消費者にとって不利な規定である。 | |
※概要書面及び契約書面に、役務が提供される前に中途解約した場合の精算方法として、契約の締結及び履行のために通常要する費用の法定金額(3万円)を超えた金額、3万1500円を請求する旨を記載している。 | |
※平成18年9月から平成19年10月までの男性会員数は300人〜400人程度にもかかわらず、勧誘の際、「各拠点(5か所:東京、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ロンドン)200人ずつぐらい男性が登録されている。」 「国内外の会員数が2500人、そのうち男性が1000人、女性が1500人。」などと、あたかも男性会員が1000人いるように告げていた。 | 第44条第1項 (不実告知) |
※中途解約を行った消費者に対し、平成19年7月以降の契約書に「海外関連会社への支払代行分は各国法律に基づき中途解約の返金対象から除かれます。」と記載していることを理由に、海外関連会社への支払代行分については特定商取引法が適用除外になると主張して返金計算の対象外とし、本来中途解約によって返還すべき金額の一部の返還を拒否していた。 なお、契約書には、海外関連会社への支払い代行分は、(株)デスティナ・ジャパンに一旦払われた上、契約締結日付で当該海外法人に支払われると記載しているが、該当する金額を契約締結日付で海外関連法人に支払っている事実はないことが立入調査で判明した。 | 第46条第1号 (解除によって生ずる債務の一部の履行拒否) |
※結婚相手を一度も紹介されていない消費者が中途解約をした場合においても、役務を提供したとする合理的な根拠がないにもかかわらず、会員在籍日数で役務を提供したとして精算金額を算出し、本来中途解約によって返還すべき金額の一部の返還を拒否していた。 |
■業務停止を受ける2年前から消費者トラブルの被害の声があがっていた。
東京都の公式ページ(http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2006/10/20ga3400.htm)記事を引用。
消費者トラブルの処理を
東京都消費者被害救済委員会に付託
平成18年10月3日
生活文化局
生活文化局
本日、東京都消費生活条例に基づき、東京都知事は東京都消費者被害救済委員会(会長 淡路剛久 立教大学大学院法務研究科委員長)に、「結婚相手を紹介するサービスに係る紛争」の処理を付託しましたので、お知らせします。
今後同委員会は申立人(消費者)及び相手方事業者双方から事情を聞いて、あっせん等による紛争解決に向けた取り組みを行います。
今後同委員会は申立人(消費者)及び相手方事業者双方から事情を聞いて、あっせん等による紛争解決に向けた取り組みを行います。
結婚相手を紹介するサービスに係る紛争
- お見合いの相手を紹介される前に解約を申し出たのに、相手方事業者から、希望の時期にお見合いの相手を紹介できるように準備していたのだから、既払い金から紹介の準備をしていた期間の分の料金を日割りで差し引いた残りの額しか返金できないと言われた。(30歳代女性)
- お見合いの相手は日本人が希望と伝えていたのに外国人ばかり紹介され、試しに1人と会ってから解約を申し出たら、3〜10人とお見合いできる契約のはずが、相手方事業者から、最低3人とお見合いできる契約で1人と会ったのだから、既払い金の3分の2しか返金できないと言われた。(40歳代女性)
※詳細は資料をご覧ください。
東京都消費者被害救済委員会は、
消費生活総合センター等の相談機関に寄せられた苦情・相談のうち、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし又は及ぼすおそれのある紛争について、「あっせん」や「調停」を行うことにより、公正かつ速やかな解決を図るため、東京都消費生活条例に基づき設置された知事の附属機関です。
消費生活総合センター等の相談機関に寄せられた苦情・相談のうち、都民の消費生活に著しく影響を及ぼし又は及ぼすおそれのある紛争について、「あっせん」や「調停」を行うことにより、公正かつ速やかな解決を図るため、東京都消費生活条例に基づき設置された知事の附属機関です。
問い合わせ先
東京都消費生活総合センター活動推進課 電話 03−3235−4155 |
〔資料〕
1 紛争案件の当事者
(1)申立人(消費者) 2名(A:30歳代女性、B:40歳代女性)
(2)相手方事業者 1社(結婚相手を紹介する事業者)
(2)相手方事業者 1社(結婚相手を紹介する事業者)
2 紛争の概要
○申立人A 「お見合いの相手を紹介される前に解約を申し出たら・・・」
-
申立人Aは平成18年2月、2年間で3〜7人とお見合いできる標準的なコース(約44万円・税込)を契約した。お見合いできる時期が分かったら連絡することとなっていたため同年3月、申立人Aは相手方事業者にメールでお見合い可能な時期(6月下旬から7月、9月中旬)を連絡したところ、相手方事業者から、6月下旬に向けて準備するとのメールがあった。
-
同年5月、会員外の人との結婚が決まりそうになった申立人Aは、相手方事業者に退会(解約)を申し出て、既払い金の返金を求めたところ、相手方事業者から、お見合い可能な時期を知らせたメールは予約にあたり、5月下旬には紹介できるよう準備していたのだから、退会の申し出までの分を既払い金から日割りで差引いた金額(約34万円)しか返金できないと言われた。
- 一人の紹介も受けていない申立人Aはこの回答に納得できず紛争となった。
○申立人B 「日本人が希望と伝えていたのに外国人ばかり紹介され・・・」
-
申立人Bは平成17年5月、海外在住の日本人を希望と伝えた上で、2年間で3〜10人とお見合いできる最上位のコース(126万円・税込、但し割引により実際の支払額は115万円・税込)を契約した。
-
ところが、申立人Bが同年8月に紹介された8人のうち7人は外国人で、唯一の日本人は離婚裁判中だったこともあり、申立人Bはいずれも断った。また、同年9月に改めて日本人を希望と相手方事業者に伝えたが、その後、相手方事業者から連絡はなく、同年12月になって突然、急遽来日が決まった外国人を紹介された。相手方事業者にその人のプロフィール等を問い合わせても、本人に聞くようにとだけ言われて不審に思い、これも断った。
-
同年12月にはさらにアジア系米国人も紹介されたが、その人は8月に断った外国人の1人だった。申立人Bは、相手方事業者に対する不信感から、試しに翌平成18年1月、その人に会って話しを聞いたところ、話の内容から相手方事業者にますます不信感を抱くようになった。また、インターネットで他にも同様のトラブルがあることを知り、同年3月、相手方事業者に退会(解約)を申し出て、既払い金の返金を求めたところ、相手方事業者から、最低3人とお見合いできる契約で1人と会ったのだから既払い金の3分の2(約73万円)しか返金できないと言われた。
- 希望する条件の相手を1人も紹介されていない申立人Bはこの回答に納得できず紛争となった。
3 主な付託理由
次のことについて委員会に見解を求め、公正かつ迅速な解決を図るとともに、今後の同種被害の防止・救済に役立てる。
(1)相手方事業者が主張する解約条件は、解約料等について定めた特定商取引法及び消費者契約法上問題ではないか。
(2)会員外との結婚や交際を理由に退会するときは、契約は完了したものとするなどと定める約款は消費者の利益を一方的に害する条項(消費者契約法)に該当するのではないか。
(3)勧誘時の概要書面の不交付やクーリング・オフに関する記載要件を満たしていない約款を用いているのは特定商取引法上の書面不備に該当するのではないか。
〔参考〕
結婚相手紹介サービスに係る
相談件数の推移(都内センター計)
相談件数の推移(都内センター計)
〔別紙〕